■ 今週のTOPIC「IHクッキングヒーターの種類と特徴!」
キッチンをプランニングする際に、
早めに決定しておきたいアイテムのひとつが
加熱機器です。
キッチン設備の中でも、
日々の調理のしやすさを左右し、
住まい全体のエネルギープランにも
影響する重要な設備機器です。
一般的な住宅の主な加熱機器は、
ガスコンロとIHクッキングヒーターです。
一般的に、必要な火力を
速やかに得られることができるため、
あおり調理ができ、炒めものなどに適しているのが
ガスコンロです。
IHクッキングヒーターは、
磁力線によって鍋を発熱させるため、
直火が出ないことと、
掃除のしやすいことが特徴でしょう。
◆IHクッキングヒーターの仕組み
IHとは、
電磁誘導加熱(Induction Heating)のことです。
IHクッキングヒーターは、
磁力線の働きによって
鍋そのものを発熱させるしくみの加熱機器です。
通電するとすぐに鍋を発熱させるので、
熱効率は高く(約90%)、
プレートと密着している部分だけ発熱させるため、
エネルギーロスを抑えることが可能なのも
特徴でしょう。
- メリット 直火が出ず、掃除がしやすい
調理をする直火がないので安全であることと、
同時に燃焼ガスが発生しないので、
部屋の空気が汚れにくいのが特徴です。
まわりに放熱することが少ないので、
夏場のキッチンでも
快適に過ごすことができるでしょう。
また、トッププレート(結晶化ガラス)は
凸凹がないため、ふきこぼれも拭きやすく、
お手入れも簡単です。
油煙もほとんどあがらないため、
換気扇の掃除も楽に行えるのも魅力です。
- デメリット 使用できる鍋やフライパンには制限が
IHクッキングヒーターには、
鉄・ステンレス対応のIHと
オールメタル対応のIHが揃っていますが、
いずれも、材質や底部分の形状などによって、
使用できない鍋があります。
一般的に、土鍋や陶磁器(セラミックス)、
耐熱ガラスなどは使うことはできません。
オールメタル対応のIHであれば、
それら以外は使用することが可能ですが、
鉄・ステンレス対応のIHでは、
銅やアルミなどの非磁性金属鍋や
なべ底に磁石がつかないものなどは使用できません。
商品によって、
専用の天ぷら鍋を推奨していることもあります。
また、鍋の大きさや形状などにも注意が必要です。
鍋やフライパンの底の形状は、
平らでトッププレートに密着できるものが適しており、
底が丸いものやそりがあるものは
使うことができません。
鍋やフライパンなどの調理器具を購入する場合は、
IHに使用出来るものかどうか、
「一般財団法人 製品安全協会」が認定する
「SGマーク」などを参考に選ぶことが大切でしょう。
◆IHクッキングヒーターの種類
・タイプ ビルトインと据え置き、
システムキッチンはビルトインが多い
IHクッキングヒーターには、
ワークトップに組み込むビルトインタイプと
コンロ台に据え置くタイプがあります。
新築やリフォームの際に多く用いられる
システムキッチンでは、
ビルトインタイプが設定されているのが
ほとんどです。
ガスコンロと同じサイズなので、
ビルトインでも取り替えが可能です。
ガステーブルをIHクッキングヒーターに
交換するケースなどでは、
据え置きタイプを用いることになるでしょう。
一般的に、ビルトインタイプの方が、
機能が充実している商品が多くみられます。
ビルトインタイプの
IHクッキングヒーターの間口サイズは、
60cmと75cmです。
ガスコンロと同様の大きで、75cmであれば、
鍋を仮置きするスペースを確保できますし、
60cmであれば、
調理台部分を広く使うことができるでしょう。
・火力や口数 3つ口が一般的です。
ラジエントヒーターを組み合わせたタイプも
IHクッキングヒーターの1口の最大火力は、
メーカーによって多少異なりますが、
1.25kw・1.5kw・2.0kw・2.5kw・3.0kw・3.2kw程度です。
これらを組み合わせた、
3つ口のタイプが一般的ですが、
2口や1口のタイプもみられます。
据え置くタイプには、2口が多く、
ビルトインタイプは、
手前にふたつと奥にひとつの
3つ口のタイプがほとんどです。
3つすべてがIHのタイプ、
もしくは、手前ふたつがIHで
奥にラジエントヒーター
(ニクロム線が配置されているもの)を
組み合わせたタイプのいずれかを
選ぶことになるでしょう。
また、手前のふたつ、
もしくはひとつがオールメタルと
なっているものもあり、
使用する調理器具に合わせて選ぶことも可能です。
メーカーによっては、
3つのIHを横一列に並べたタイプなどもみられます。
◆IHクッキングヒーターの操作方法
ガスコンロのように
火力を見ながら調整できる操作方法とは異なるため、
使い勝手に不安を持つ場合もあるかもしれませんが、
最近では、操作方法がより分かりやすいように
工夫を施した商品が多くみられます。
手元が見やすい上面に操作スイッチがあるもの、
火力調整をガスコンロのように
ダイヤルで操作できるタイプなどもあります。
また、操作手順を音声や文字情報などで
教えてくれたり、
次の操作をするボタンが光ることで知らせてくれるもの、
加熱中と認識しやすいような表示があるもの、
スマートフォンで調理設定ができるもの
などもあります。
高齢の方でも操作しやすいように
工夫されたタイプが増えてきています。
お手入れ方法を液晶画面で
知らせる機能などを持つ商品もみられます。
◆IHクッキングヒーターの調理機能
微妙な火加減も細かく調節できたり、
対流を起こすことで
自動でかき混ぜるタイプもあり、
煮くずれや焦げつきを抑えてくれます。
定番の焼き物料理の温度や時間を自動設定、
裏返すタイミングなどを表示と音声で
知らせる機能などもあります。
また、
鍋底から鍋肌まで均一に加熱することができたり、
大きな鍋底のタイプでも調理が可能な商品、
逆に小さな鍋でもサイズや形状に合わせて
エリアごとに加熱するタイプもみられます。
また、スマートフォンを
IHクッキングヒーターにタッチすることで、
選んだメニューの温度や時間などの
調理設定が可能になるなどの機能も
みられるようになりました。
◆安心・安全機能
IHクッキングヒーターには、
安心して調理することができる機能も
搭載されています。
メーカー商品にもよりますが、
たとえば、ふきこぼれや焦げつきを
感知すると加熱が止まり、
音声や操作表示などで知らせてくれる機能、
電源を切り忘れても設定時間に自動的に切れる機能、
鍋を置かないと自動で切れる機能、
鍋底の温度が異常に上がると
自動的に通電をコントロールする機能など。
高温注意の表示などもありますし、
幼いお子さんがいたずらしないように、
チャイルドロックなどの設定もみられます。
また地震感知機能を備えたタイプもあります。
◆グリル(魚焼き器)・オーブン
IHクッキングヒーターと一体になっているグリルも、
機能性は高まってきており、ヒーターだけでなく
熱源にIHを取り入れた商品もあります。
容量の大きいタイプ、火力の強いタイプなど、
上下同時加熱でスピーディー に
焼き上げる両面焼きグリルや
煙の少ないタイプなども揃っています。
また、魚を焼くだけでなく、
ノンフライ調理やローストビーフ、
スィーツまでオーブンのように
利用できるタイプもみられます。
もちろん、
掃除のしやすさにも配慮されたタイプも揃い、
パーツが取り外しやすくなっているもの、
すっきりとした庫内となっているものなど、
お手入れが簡単なものが多く揃っています。
◆換気扇と連動、HEMS(ヘムス)対応のタイプも
最近では、IHクッキングヒーターと
換気扇との連動運転が可能なタイプもみられます。
調理に合わせて自動で換気機能が働くので、
つけ忘れや消し忘れなどを防ぐことができるでしょう。
また、調理中の消費電力や電気料金などを
モニターやスマートフォンで確認できたり、
住まい全体の消費電力に応じて火力を調整するなど、
住まいのエネルギーを見える化する
HEMS「Home Energy Management System
(ホーム エネルギー マネジメント システム)」
に対応できる商品もみられるようになりました。
◆家族構成や食事のスタイル
調理内容などを考慮して選ぶ
いずれのビルトイン機器も同様ですが、
システムキッチン商品やメーカーによって、
選ぶことができるIHクッキングヒーターが
設定されているので、こだわりのある場合は、
システムキッチンを選ぶ前にどのような機器を
取り入れることができるのか確認しましょう。
機器の価格は、20万円から40万円程度ですが、
搭載されている機能によって大きく異なるので、
家族構成や食事のスタイル、
調理内容などを考慮して、
わが家にとっての必要な機能などの
優先順位を明確にして選ぶようにしましょう。
◆ショールームで実際に操作を
はじめてIHを取り入れる場合は、
できる限りショールームで確認しましょう。
最新の機器などを使用し、
実際に調理を体験できるセミナーなどを行う
ショールームもあるので、
積極的に参加することをお勧めします。
設置前に確認しておきたいのは、
IHクッキングヒーターを設置するには、
200Vの配線工事が必要なことです。
ガスからの取り替えの場合は、
ガス事業者に閉栓の依頼をしましょう。
集合住宅では、
全体の電気容量の関係もあるので、
管理組合に事前に
確認をしておくことも必要です。
また電磁波に関しては、現時点では、
他の一般的な家電製品と比べて
同じレベルと言われていますが、
医療用ペースメーカーなどを使用している場合は、
医師と事前に相談をしておくようにしましょう。
それでは、また!