■ 今週のTOPIC「リビング階段のメリットデメリット!!」
住まいの上階と下階をつなぐ階段には、
いくつかのタイプがありますが、
子育て世代を中心に注目されている
プランのひとつが
「リビング階段」でしょう。
「リビング階段」は、
「リビング内(イン)階段」という意味で、
リビングやダイニングなど、
家族のくつろぎのスペースに設けた
階段のことです。
建築的な用語というよりは、
従来より多くみられる、
玄関や廊下近くに設けられる階段と異なる、
居室に取り込んだ階段スタイルを
表す名称と言えるでしょう。
最近では、
LDKをひとつの空間とする間取りが多いので、
「リビング階段」というよりも、
「LDK内階段」という呼び方の方が
近いかもしれません。
◆リビング階段のメリット
- 家族が顔を合わせる機会が増えること
「リビング階段」のメリットとして
挙げられるのが、
2階に子供部屋を設けた場合、
帰宅時や外出時に家族のいる
1階のリビングを必ず通るので、
コミュニケーションが
取りやすいということです。
玄関から自分の部屋へ直行することを
防ぐことができるため、
子育て世代を中心に取り入れたい、
と希望する方も多くみられます。
確かに、
家族がいることの多いリビングを通るので、
顔を合わすことや
気配を感じることができる可能性は
高いでしょう。
しかし、
共働きなど、生活スタイルによっては、
子供の帰宅時に、家族がリビングにいない、
ということもあるかもしれません。
新しい家での暮らし方をイメージして、
検討することが大切です。
- 限られたスペースを有効活用できること
「リビング階段」といっても
さまざまなプランがあり、
一概には言えませんが、
一般的には、階段部分のスペースを
リビングの一部に取り込むことができるので、
空間を有効利用できることは
メリットのひとつです。
敷地に限りがある狭小住宅にも
向いています。
- 上からの光を取り入れ、
空間的な広がりが生まれること
「リビング階段」を設置することで、
上階からの光を下階に取り込み、
明るいリビングとすることも可能です。
プランによっては、
空間に広がりを感じることもできるでしょう。
- 空間のデザイン的なポイントにもなること
プランニングにもよりますが、
デザイン性の高い階段とすることで、
空間のポイントとなる場合もあるでしょう。
たとえば、螺旋階段などは、
空間のイメージを
大きく変えるのではないでしょうか。
◆リビング階段のデメリット
- 冷暖房効率が低下しやすいこと
プランニングにもよりますが、
「リビング階段」から
空気が逃げてしまうことで、
冷暖房効率が低下してしまうことがあります。
住まい全体の断熱性能を
高めることはもちろん重要ですが、
階段のスタイルによっては、
上階か下階部分に扉を設けるなどのプランも
考えられます。
開放しておくこともできる
引き戸タイプが向いているでしょう。
- キッチンからのニオイが届いてしまうこと
階段がキッチンに近い場合、
リビング・ダイニング・キッチンが
ひとつの空間の場合などは、
調理中のにおいが
2階まで届いてしまうこともあるようです。
- 上下階の音が響くこと
階段の設置状況にもよりますが、
リビングのテレビの音などが
2階まで聞こえてしまったり、
子供部屋で友達と遊ぶ声が
響いたりするケースもあります。
気配を感じる程度であれば
いいかもしれませんが、
くつろぎが妨げられない
工夫も必要でしょう。
逆に、声が届きやすい、
というのはメリットになるかもしれません。
- リビングで落ちついて
過ごせないケースがあること
家族の中で生活時間が異なる場合は、
リビングに階段があることで、
落ち着かない空間となってしまう場合も
あります。
例えば、
お子さんの友達が遊びに来た時などは、
リビングまで片付けなければならなくなる、
休日にのんびりとソファでくつろげない、
などといった声も聞かれます。
◆リビング階段に適した建材商品も
以前階段は、
現場で造作されていましたが、
最近では、
建材メーカーが工場で加工した
踏板や蹴込み(けこみ)板、
手摺などをセットにした商品を
用いるケースが多くみられます。
メーカー商品には、
リビングに設ける階段に向くような
デザイン性の高い商品、
オブジェのように印象的なタイプ、
内装材や建具など、
インテリア部材とのコーディネートも
可能なものなどもみられます。
また、木質建材だけでなく、
アルミと組み合わせた
デザインやシンプルでモダンな階段、
開放感のある手すりを組み合わせることが
できるタイプ、
螺旋階段など、
選択の幅は広がってきていると
いえるでしょう。
◆動線などを充分に配慮して
住まい全体で検討を
階段プランは単体ではなく、
住まい全体の間取りを検討する中で
プランニングされるものです。
居室の配置や動線、安全性に
配慮することは基本です。
どのような階段がいいのか、
専門的な部分も多いので、
設計者とじっくりと相談をしましょう。
リビングに設ける、
ということにこだわるあまり、
使い勝手が悪くなっては本末転倒です。
特に、LDKをひとつの空間とするプランでは、
くつろぎや食事、調理と
さまざまな機能を持つ空間の中に
階段を取り込むことになるので、
家族や来客の動き、
動線を充分に考慮して、
プランニングすることが大切でしょう。
◆将来のライフスタイルの変化も考慮して
「リビング階段」に限りませんが、
間取りプランは、
現在だけでなく将来的な家族の変化、
年齢や構成の変化を
見据えることがとても大切です。
子供が幼い時は魅力的なプランも、
成長した時には、
適さない場合もあるものです。
新しい住まいの間取りプランは、
長期的な視点で、
住まいに対する要望の優先順位を明確にして、
検討することが重要でしょう。
それでは、また!!