■ 今週のTOPIC「平屋の魅力と注意点」
日本の住まいはもともと平屋建てが主流でした。
平屋建ての住まいは、
家と庭の関係がきわめて大切にされてきました。
敷地に余裕があれば、
やはり平屋に住むというのは
理想といえるかもしれません。
階段の上り下りもなく、
ワンフロアで天井も高くとれ、
開放感のある空間で過ごせるということは、
居心地のよいものです。
さらに気軽に外に出て
自然と触れ合うことができるというのも
魅力のひとつといえるでしょう。
◆内部空間と外部空間
木造住宅において、
間取りと構造はきってもきれない関係です。
したがって平屋の間取りは、
2階の柱の位置や壁のことを考えなくても良いので、
間取り計画は構造計画ともいえます。
平面が美しければ立体である構造も
美しいといえます。
かつて農家の家などは、
土間やいろりの上部に力強く美しい骨組みが
見られました。
構造の美しさは、
当然屋根の美しさにつながります。
童謡(こいのぼり)の唄の中にも
「瓦(いらか)の波と雲の波」と唄われたくらい、
屋根には美しさがあったのです。
現代の家は、内部空間は豊かですが、
外部空間は内部ほど豊かではないかもしれません。
建物の本来の豊かさとは、
内部空間の豊かさが外部空間にも
つながっていると言われております。
◆注意したい通風と採光
- 通風
平屋建ては、あまり混みいった間取りにすると、
壁が多くなることにより通風の妨げになり、
風が通りにくくなってしまいます。
したがって周囲環境を読み、
建物の配置と平面計画は
十分に配慮することが大切です。
特に風の道はいくら入口が大きくても、
出口が小さければ十分な通風は期待できません。
入口も出口も同じくらいの
大きさの窓がほしいところです。
無理な場合は、高窓や地窓を設けて
風を通すことを考えましょう。
- 採光
平屋建ては、建物の中心部や北側などに
直射光が得られない部屋や場所があります。
これらは間接的に光を取り入れて
明るい光環境をつくり出す工夫が必要です。
「間接的に取り入れて」とは、
光の反射と拡散です。
例えば北側の部屋であれば、
高い位置に窓を設け、
ほどよく安定した光を取り入れます。
また、欄間やガラリを設けたり、
建具も一部型ガラスを入れるなどの
工夫をすることです。
一般に南側の光はまぶしくて変化も大きく、
熱も同時に室内へと入ってきますが、
北側の光は変化が少なくて
それ程熱も入ってこないので、
書斎などの空間に適しています。
さらに平屋の家は、
トップライトでどこにでも
光を取り入れることができます。
熱や結露に留意して
トップライトを活用しましょう。
◆平屋のつなぐ魅力
平屋の魅力は、庭との親和性です。
室内にいても外の風景をいかに取り入れ、
そして内とも外ともいえない
曖昧なスペースをつくることが
キーポイントなのです。
かつては土間や縁側が
その役割を果たしていました。
現代の家づくりでは、
デッキやインナーテラスといえるでしょう。
これらは特に人気があります。
その理由はリビングやダイニングとの一体感です。
平屋建ての安定感のある外観のデザインと
空間の広がりをみせるデッキは
平屋建てならではの景観をつくってくれます。
それでは、また。