COLUMN 住宅コラム
今週のTOPIC「日射遮蔽でつくる、涼しい住まいの考え方」🌞
なぜ家の中は暑くなるのか?
夏になると、
「エアコンをつけてもなかなか涼しくならない」
「2階だけ異常に暑い」
「夕方になると西日でリビングが暑い」
というお悩みをよく耳にします。
多くの方は「断熱性能が足りないから暑い」と考えがちですが、実はそれだけではありません。
夏の室内が暑くなる最大の原因は、太陽の日射熱です。
特に窓から侵入する熱の影響は非常に大きく、住宅に入る熱の多くは窓を通して室内へ入り込むと言われています。
つまり、どれだけ高性能なエアコンを設置しても、どれだけ断熱材を厚くしても、窓から大量の熱が入り続ければ快適な住まいにはなりません。
そこで重要になるのが「日射遮蔽(にっしゃしゃへい)」です。
日射遮蔽とは、太陽の熱を建物の中に入る前に遮ることを意味します。
夏を快適に過ごすためには、この考え方が欠かせません。

断熱と日射遮蔽は別物
家づくりを検討していると、
「高断熱住宅」
「高気密住宅」
という言葉をよく耳にします。
もちろん断熱性能は非常に重要です。
冬の暖かさや省エネ性能に大きく関わります。
しかし、断熱性能が高いだけでは夏の暑さ対策として十分とは言えません。
例えるなら、断熱性能は魔法瓶のようなものです。
外の暑さや寒さを伝えにくくする性能です。
しかし、真夏の炎天下で魔法瓶を開けたままにしておけば、中の温度は上がってしまいます。
住宅も同じです。
まずは熱を入れない工夫を行い、そのうえで断熱性能を高めることが大切なのです。
昔ながらの軒や庇には理由がある
昔の日本家屋には深い軒や庇(ひさし)がありました。
これは単なるデザインではありません。
夏の高い位置から差し込む太陽光を遮り、冬の低い位置から差し込む太陽光は取り込むための知恵なのです。
夏の日差しを防ぎながら、冬には暖かな日射を室内へ取り込む。
非常に理にかなった設計です。
最近では外観デザインを優先して軒の少ない住宅も増えていますが、快適性という観点から考えると、適切な軒の出は大きなメリットがあります。
外側で遮ることが最も効果的
日射対策としてカーテンを閉める方も多いと思います。
もちろん効果はあります。
しかし実は、熱が室内に入ってきてから遮るため、十分とは言えません。
最も効果が高いのは窓の外側で日差しを遮ることです。
例えば、
・すだれ
・アウターシェード
・外付けブラインド
・オーニング
などがあります。

昔ながらのすだれも非常に優秀な日射遮蔽アイテムです。
窓の外側で太陽光を遮ることで、室温上昇を大きく抑えることができます。
最近ではデザイン性の高いシェードも増えており、新築時だけでなく既存住宅でも取り入れやすくなっています。
西日対策が快適性を左右する
家づくりで意外と見落とされるのが西日対策です。
南側の日射は軒でコントロールしやすいのですが、西日は夕方になるほど低い角度から差し込むため、非常に対策が難しくなります。
夏場の夕方、西向きの窓から強い日差しが入ると、室温が急激に上昇します。
その結果、
・冷房が効きにくい
・電気代が高くなる
・室内がまぶしい
といった問題が発生します。
そのため、西側の窓は必要以上に大きくしないことや、外付けシェードを活用することが重要です。

植栽を利用して木陰をつくる方法も効果的です。
植栽も立派な日射遮蔽
住宅性能というと設備や建材ばかりに目が向きがちですが、実は庭の植栽も重要な役割を果たします。
落葉樹を南側や西側に配置すると、
夏は葉が茂って日陰をつくり、
冬は葉が落ちて暖かな日差しを取り込めます。
自然の力を活かした、とても合理的な方法です。
見た目にも美しく、季節の変化を感じられる暮らしにつながります。
これからの家づくりで大切なこと
近年は住宅性能競争が進み、
UA値やC値などの数値に注目が集まっています。
もちろん重要な指標です。
しかし、本当に快適な住まいをつくるためには、
「断熱」
「気密」
だけではなく、
「日射取得」
「日射遮蔽」
まで含めて考える必要があります。
特に日本の高温多湿な気候では、
夏の日差しをいかにコントロールするかが住み心地を大きく左右します。
昔から伝わる
「家は夏を旨とすべし」
という考え方は、現代の高性能住宅においても決して色褪せることはありません。
これから家づくりをお考えの方は、ぜひ間取りや断熱性能だけでなく、「日射をどうコントロールするか」という視点にも注目してみてください。
きっと一年を通して快適で、省エネな住まいづくりにつながるはずです。
それでは、また。
