COLUMN 住宅コラム
今週のTOPIC「秋の夜長を快適にする照明の選び方」
家づくりを考えるとき、間取りやキッチン、収納、
外観などはじっくり検討するものの、
「照明」については最後に決めるもの、
と考えている方も少なくありません。
しかし、照明は毎日の暮らしに欠かせないものです。
せっかくお気に入りの間取りや家具を選んでも、
照明の位置や明るさが暮らし方に合っていなければ、
「なんとなく使いにくい」「思っていた雰囲気と違う」と感じることがあります。
では、照明を選ぶときには、どのようなことを考えればよいのでしょうか?

「部屋を明るくする」だけではない照明の役割
照明の基本的な役割は、もちろん室内を明るくすることです。
しかし、住宅の照明にはそれ以外にもさまざまな役割があります。
たとえば、リビングでは家族でテレビを見たり会話をしたりします。
ダイニングでは食事をします。
キッチンでは包丁を使ったり、食材を確認したりします。
寝室では本を読んだり、眠る前にゆっくり過ごしたりします。
このように、同じ「部屋」という空間でも、
時間帯や使い方によって必要な光は変わります。
そのため、「部屋に照明を1つつければ大丈夫」と考えるのではなく、
「その場所で何をするのか」を考えることが大切です。
リビングは「くつろぐ時間」を意識
家族が集まるリビングは、住宅の中でも長い時間を過ごす場所です。
テレビを見る、子どもが遊ぶ、家族で話をする、
読書をするなど、さまざまな使い方があります。
そのため、いつでも部屋全体を均一に明るくするだけではなく、
必要に応じて明るさを変えられるようにしておくと便利です。
たとえば、家族みんなで過ごす時間には部屋全体を明るくし、
テレビを見る時間には少し照明を落とす。
夜にゆっくり過ごすときには、壁や天井などを照らす間接照明を利用する。
こうした使い分けができると、
同じリビングでも時間帯によって違った雰囲気を楽しめます。
特に秋の夜長には、少し照明を落とした落ち着いた空間で過ごすのもよいですね。
ダイニングは「料理がおいしく見える光」もポイント
ダイニングでは、明るさだけでなく照明器具のデザインも大切です。
テーブルの上にペンダントライトを取り入れると、
食卓を中心とした空間をつくりやすくなります。
ペンダントライトとは、
天井からコードやチェーンなどで吊り下げるタイプの照明です。

照明そのものがインテリアのアクセントになるため、
家具や内装とのコーディネートを楽しめるのも魅力です。
ただし、デザインだけで選ぶのは注意が必要です。
テーブルの大きさに対して照明が小さすぎたり、
逆に大きすぎたりすると、バランスが悪く感じることがあります。
また、照明の高さによっては、
座ったときに光源が目に入りやすくなることもあります。
「どんな照明が好きか」だけではなく、
「テーブルの大きさ」「座ったときの視線」「家族の人数」
なども考えて選ぶことが大切です。
キッチンは「手元の明るさ」を忘れずに
キッチンで重要なのは、見た目だけではなく作業のしやすさです。
食材を切ったり、盛り付けたり、洗い物をしたりする場所ですから、
手元が見えやすいことが重要になります。
リビング側の照明だけでは、キッチンの手元が影になってしまう場合もあります。
そのため、キッチンの作業スペースには、
手元を照らす照明を組み合わせることも検討しましょう。
特に対面キッチンでは、キッチンの位置だけでなく、
ダイニングやリビングから見たときの照明のデザインも含めて考えると、
空間全体にまとまりが出やすくなります。
キッチンは「作業する場所」であると同時に、
最近ではLDKの一部としてインテリア性も求められる場所です。
照明も、機能性とデザイン性の両方から考えてみましょう。
寝室は「明るすぎないこと」も大切
寝室では、リビングやキッチンとは違った考え方が必要になります。
寝るための部屋だからといって、必要以上に明るくする必要はありません。
寝る前に本を読む場合には手元を照らす照明が必要ですが、
部屋全体を強く照らす必要はないでしょう。
また、ベッドに横になったときに、
直接光源が目に入る位置に照明があると、まぶしく感じることがあります。
寝室では、照明器具の位置や光の向きにも注意してみましょう。
ベッドサイドに小さな照明を置いたり、
壁面を照らす間接照明を利用したりすると、
落ち着いた雰囲気をつくりやすくなります。
「寝る前にどんな時間を過ごしたいか」を考えることが、
寝室の照明選びのポイントです。

「電球色」と「昼白色」など光の色にも注目
照明を選ぶときには、器具の形だけでなく「光の色」にも注目しましょう。
照明には、白っぽい光から暖かみのある光まで、さまざまな色があります。
一般的に暖かみのある光は、落ち着いた雰囲気をつくりやすく、
リビングやダイニングなど、くつろいだ時間を過ごす場所にも取り入れられます。
一方、白っぽく明るい光は、作業をする場所などに向いています。
もちろん、どの色が正解ということではありません。
大切なのは、そこでどんな時間を過ごすのかということです。
たとえば、同じLDKでも、食事をする場所とくつろぐ場所では、
求める雰囲気が違うかもしれません。
照明の色を上手に使い分けることで、
ひとつの空間の中でもシーンに合わせた雰囲気をつくることができます。
照明計画でありがちな失敗
照明選びでありがちな失敗のひとつが、
「家具を置いたら照明が使いにくかった」というケースです。
家を建てる段階では、まだ家具がないため、
照明の位置を具体的にイメージしにくいものです。
しかし、実際にソファやダイニングテーブル、ベッドなどを置いてみると、
「ここに照明があったら便利だった」ということがあります。
そのため、新築の照明計画では、
家具の配置も一緒に考えておくことが重要です。
ダイニングテーブルをどこに置くのか。
ソファはどこに置くのか。
テレビはどの壁に設置するのか。
ベッドの位置はどこなのか。
こうした家具の配置をイメージしながら照明の位置を決めていきましょう。
スイッチの位置も意外と重要
照明器具そのものだけでなく、
「どこでスイッチを操作するのか」も忘れてはいけません。
たとえば、寝室に入ってから照明を消すことしか考えていないと、
ベッドに入ったあとにもう一度起き上がってスイッチを
操作する必要が出てくることがあります。
廊下や階段、玄関なども同じです。
「帰宅したときにどこで照明をつけるのか」
「部屋を出るときにどこで消すのか」
「夜中にトイレへ行くときはどうするのか」
実際の生活を想像しながらスイッチの位置を決めると、
完成後の使い勝手が変わってきます。

明は「明るさ」ではなく「暮らし方」から考える
照明計画で最も大切なのは、必要以上に照明器具を増やすことでも、
すべてを明るくすることでもありません。
「その場所で、誰が、いつ、何をするのか」を考えることです。
朝は明るく爽やかに。
夕食時には食卓を心地よく。
家族団らんの時間には、リビングを柔らかく。
寝る前には、少し照明を落としてゆったりと。
こうして考えてみると、照明は家の設備というだけではなく、
毎日の暮らしのリズムをつくるものでもあります。
特にこれからの秋冬は、夜の時間が長くなります。
家族が自然と集まる場所、自分が一人で落ち着ける場所、
集中して作業する場所など、それぞれに合った光を考えてみてはいかがでしょうか。
新築なら「完成してから」ではなく「間取りと一緒」に
照明については、最後に決めればよいと思われがちですが、
実は間取りを考える段階からイメージしておくことが大切です。
照明の位置によっては、天井の下地や配線、スイッチの位置などにも関係してきます。
また、吹き抜けや勾配天井、造作家具、
カウンターなどを取り入れる場合は、照明計画もより重要になります。
「この場所にこんな照明をつけたい」という希望がある場合は、
できるだけ早い段階で住宅会社に相談してみましょう。
カタログの写真だけでは分かりにくい場合は、
実際のショールームやモデルハウスなどで
光の広がり方や器具の大きさを確認するのもおすすめです。
昼間の明るい状態だけではなく、
照明をつけた夜の雰囲気をイメージすることもポイントです。
家づくりでは、間取りや設備だけでなく、
「そこでどんな毎日を過ごしたいか」を考えることが大切です。
照明は、その暮らしをより快適に、そして心地よく演出してくれる大切な要素のひとつです。
これから家づくりを始める方は、
ぜひ「どんな明るさの家にしたいか」だけでなく、
「夜、家でどんな時間を過ごしたいか」から照明を考えてみてください。
